Tuesday 14 September 2010

谷川俊太郎 「夫が妻へ」

谷川俊太郎さんの詩は好きで、時々読みなくなるのですが
今日はたまたま開いた本にこんな素敵な詩が
いーなーこんな関係
人を好きになって、家族になるってこういうことだなあ
大切な人との関係ってこんなですものね

夫が妻へ

おまえをみつめていると
私は男らしさをとりもどす
おまえの手はひびがきれ
おまえのくちびるのわきには
小さなしわがきざまれている


おまえの心は日々の重みに
少しゆがんでいるかもしれない
けれどもおまえをみつめていると
私はやさしさをとりもどす
一日の新鮮さをとりもどす


おまえをみつめていると
おまえを守らずにいられない
あらゆる暴力から
あらゆる不幸からおまえを守り
こんなにも女らしいおまえを
こんなにもゆたかなおまえを
私は愛さずにはいられない